que's queer things

脊髄あたりを撫でては摩る何かを

"when gentleness is important"

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Nembutal / ネブンタール

 

これはアボット社が1930年に発売したネブンタールという鎮静睡眠薬の広告。

成分はペントバルビタール

主な用途は麻酔、不安緊張状態鎮静、不眠症、痙攣の抑制。

獣医学においては安楽死にも用いられるらしい。

 

そんなことからも分かるように

"when gentleness is important"なんてコピーが入っているくせに

過剰摂取時の致死率1位を誇るラジカルな睡眠薬

過去には死刑執行に使われたこともあるらしい。

過去と言っても2010年。最近!

 

そんなバックグラウンドを知った上で

これからこの薬を服用するのであろうこの子供のイラストを眺めていると

妙に乾いたタッチで描かれた、この見開かれた死んだ魚のような目に

少し背筋の寒さを覚えるものです。

 

古い広告は現代のような妙なシズル感がない分

感情が読めない不穏さみたいなものがあって、そこが個人的には好きなポイントというか。

押し付けてこない分怖いのよね。

 

そしてこの味わい深いイラストもさることながら、

文字に使われた朱赤とモノトーンのシンプルな色合い

ゆるゆる組まれた文字組みがたまらない。

 

重たいテーマの割に、まるで絵本のようなトーンがとても好き。